20220227
村上隆さんの花(器は三谷龍二さん)と杉謙太郎さんの花。〈政治的(宗教的・民族的……)立場をこえた「共」が、たいてい生活文化によってきずかれてきたことを思うと、むしろいまだからこそ、生活工芸の「よわさ」とそれに由来する(水平的・感情的)「共」を、あらためて評価すべきではないかと思う〉(菅野/『工芸青花』17号特集「生活工芸と村上隆」より)─
いまだからこそ、と思っています。杉さんのあたらしい花もみられます。
─
■茶話会|『工芸青花』17号|「生活工芸」特集|刊行記念懇談会
□3月5日(土)15時 @ BOOTLEG gallery(神楽坂/江戸川橋)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=807
─
ゲスト(以下)をかこむ交流会です。語りあいましょう。
─
・村上隆/美術家
・安藤雅信/陶芸家
・辻和美/ガラス作家
・三谷龍二/木工家
・広瀬一郎/「桃居」店主
─
・井出幸亮/『Subsequence』編集長
・オオヤミノル/焙煎家
・小林和人/「OUTBOUND」店主
・杉謙太郎/花人
・高木崇雄/『民藝』編集長
・牟田都子/校正者
・森岡督行/書店主
20220224
3作家のあらたな共作「つどう2」より、中国茶箱。「つどう」シリーズは今回は展示のみです(販売は5月、北京でおこないます)。─────
明日から(明日25日は青花会員と御同伴者1名)。状況におうじて、整理券配布、入場制限、販売個数制限をおこなう場合があります。
─
■展覧会|生活工芸の作家たち5:つどう2
□2月25日-3月1日|13-20時|工芸青花+悠庵(神楽坂)
□出品|安藤雅信+辻和美+三谷龍二
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220201.html
─────
以下のトークもぜひ(多治見でおこないます。残席わずか)。
─
■講座|工芸と私57|安藤雅信+辻和美+三谷龍二|生活工芸と海外
□2月26日(土)17時@ギャルリももぐさ(多治見)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=775
20220223
こちらも来週です。リレー形式でゲスト(以下)のお話をうかがいます(実演もあります)。─────
■茶話会|『工芸青花』17号|「生活工芸」特集|刊行記念懇談会
□3月5日(土)15時@ BOOTLEG gallery(神楽坂/江戸川橋)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=807
─────
・村上隆(美術家)……特集筆者
─
・安藤雅信(陶芸家)……特集関係者
・辻和美(ガラス作家)……同
・三谷龍二(木工家)……同
・広瀬一郎(「桃居」店主)……同
─
・オオヤミノル(「KAFE工船」店主)……感想とドリンク提供
・小林和人(「Roundabout」「OUTBOUND」店主)……感想とDJ
・杉謙太郎(花人)……感想と生活工芸の花
・高木崇雄(「工藝風向」店主/『民藝』編集長)……感想と笛(能管)
・牟田都子(校正者)……旧『クウネル』読者としての感想
・森岡督行(書店主)……「生活工芸美術館」構想者としての感想
20220222
骨董通販サイト seikanet 公開中です(2月28日まで)。「春の骨董」特集。追加出品もありました。https://store.kogei-seika.jp/
─
フランス硝子皿、李朝染付壺、オリエント古代土器、青白磁徳利、絵ガラス盃、大正硝子徳利、インド古裂、聖歌楽譜、博物画など。
20220220
来週末から。展示は神楽坂(工芸青花)、トークは多治見(ギャルリももぐさ)でおこないます。─────
■展覧会|生活工芸の作家たち5:つどう2
□2月25日-3月1日|13-20時|工芸青花+悠庵(神楽坂)
□出品|安藤雅信+辻和美+三谷龍二
*2月25日は青花会員と御同伴者1名のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220201.html
─────
毎年冬におこなっている「生活工芸」作家の3人展、今年の主題も昨年につづき「つどう」です。安藤雅信(陶)、辻和美(ガラス)、三谷龍二(木工)の3人が3組ずつ監修、共作した茶箱、珈琲茶箱、朝食セット、デザートセットなど9組を展示します(於工芸青花)。いずれも今年5月(18−22日)に北京でおこなう3人展(北京のギャラリー莨室と青花共催の生活工芸展)で展示販売するもので、東京での展示は、その完成披露の会でもあります。
─
おなじ建物の別室(悠庵)では、3作家の近作を展示販売します。『工芸青花』の新刊17号(1月末刊)では「生活工芸と村上隆」という特集を組みました。そこで多くが語られていますが、2000年代に主流化し、「近代工芸史を切断した」(広瀬一郎/桃居)とされる生活工芸の核心的現在を御覧いただけましたら幸いです。
─────
■講座|工芸と私57|安藤雅信+辻和美+三谷龍二|生活工芸と海外
□2月26日(土)17時@ギャルリももぐさ(多治見)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=775
─────
作り手、売り手、使い手の方々と、「工芸」のことを考えるシリーズです。今回は、2月25日から3月1日まで東京の工芸青花でおこなう「生活工芸の作家たち5:つどう2」展と、2月26日から3月13日まで多治見のギャルリももぐさで開催される「生活工芸オルタナティブ:暮らしの造形Ⅺ展─辻和美+ナカオタカシ」を機に、生活工芸作家3人のお話をうかがいます。
─
『工芸青花』の新刊17号(1月末刊)では「生活工芸と村上隆」という特集を組みました。今回の話者3人をふくむ生活工芸作家5人と、工芸店主やスタイリスト、デザイナーなど関係者6人、あわせて11人に美術家の村上隆さんが話をきく、というもので、2000年代に主流化する「生活工芸」という文化の前史と盛期について、多くの知見が得られました。
─
本講座は、その特集内容をうけて、「生活工芸の現在」を問うものです。2010年代以降のあらたな現象として、東アジアを中心に、生活工芸の海外進出があります。登壇者3人はその先駆者です(今年5月にも北京で3作家による生活工芸展がひらかれます)。「暮らしの造形展」の話を皮切りに、海外進出のきっかけ、各地の反応、それにより作家としてなにを考えるようになったかなど、具体的にお話しいただきます。
20220218
あらたな催事のお知らせです。─────
■茶話会|『工芸青花』17号|「生活工芸」特集|刊行記念懇談会
□3月5日(土)15時@BOOTLEG gallery(神楽坂/江戸川橋)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=807
─
■講座|ロマネスク美術革命4|伊藤喜彦+金沢百枝|ロマネスク建築の魅力
□3月11日(金)18時半@自由学園明日館(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=808
─
■展覧会|赤穂緞通
□3月25-29日|13-20時|工芸青花(神楽坂)
□出品|阪上梨恵(赤穂緞通六月)
*3月25日は青花会員と御同伴者1名のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220301.html
─
■講座|工芸と私58|阪上梨恵|赤穂緞通と私
□3月25日19時半@悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=810
─────
以下も引続き開催、募集しています。
─
■展覧会|生活工芸の作家たち5:つどう2
□2月25日-3月1日|13-20時|工芸青花+悠庵(神楽坂)
□出品|安藤雅信+辻和美+三谷龍二
*2月25日は青花会員と御同伴者1名のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220201.html
─
■講座|工芸と私57|安藤雅信+辻和美+三谷龍二|生活工芸と海外
□2月26日(土)17時@ギャルリももぐさ(多治見)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=775
20220217
〈この懐中時計も売り出された頃には、今の iPhone 並みか、それ以上に注目された存在であったのかも知れませんね〉(高木孝「骨董入門」)─
骨董通販サイト seikanet 公開しました。今回は特集「春の骨董」です。
https://store.kogei-seika.jp/
─
seikanet 監修者、古美術栗八の高木孝さんの連載「骨董入門」も更新しました。 https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi/024.html
─
〈まずはノートパソコンを買って使い方の勉強から始めましたが、全てが入門雑誌を見ながらの独学で、行き当たりバッタリのやり方です。そんなスタートでしたので、いまだにキーボードは右手中指1本でしか打てませんが、慣れてしまって不自由を感じたことはありません〉
20220213
『工芸青花』の新刊17号では「生活工芸と村上隆」という、90ページ強の特集を組みました(編集部在庫はなくなりましたが、各地の販売店で御覧いただけます)。毎冬おこなっている「生活工芸の作家たち」展、今年は2月末からです。─
■展覧会|生活工芸の作家たち5:つどう2
□2月25日-3月1日|13-20時|工芸青花+悠庵(神楽坂)
□出品|安藤雅信+辻和美+三谷龍二
*2月25日は青花会員と御同伴者1名のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20220201.html
─
3作家の公開トークもおこないます。2010年代以後の動向で、これまで主題化されてこなかった「海外」展開について。
─
■講座|工芸と私57|安藤雅信+辻和美+三谷龍二|生活工芸と海外
□2月26日(土)17時@ギャルリももぐさ(多治見)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=775
20220211
ラオスの藍と三谷龍二さんの木椀と匙。通信販売をはじめました。─
●textile n+R|百思百布|百の藍
https://www.kogei-seika.jp/shop/textile_nR_indigo.html
─
textile n+Rは中村夏実さんと林礼子さんのふたり組。日本、アジア、ヨーロッパ……古布や現代の布を再生/新生させる活動をつづけています。今回は「藍」をテーマに、帛紗や簡易仕覆(中身共)を御紹介します。
20220210
【お知らせ】今日2月10日(木)18時半からの講座「金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ75|新約篇4|エジプト逃避」ですが、いまのところ予定どおり開催します(自由学園明日館@目白)。雪による交通制限等で参加できなかった方には、通信講座(録画)の配信や返金等措置いたしますので、どうか御無理なさらずに。
20220208
Kogei Seika vol.17https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─────
3|生活工芸と村上隆
‘Crafts for Daily Life’ and Takashi Murakami
─────
The term ‘Crafts for Daily Life(Seikatsu Kogei), seems obvious, as both ‘crafts (kogei)’and ‘daily life (seikatsu)’are common words. However, since around 2010, it has come to mean something else, a concept. The following is my (Sugano’s) own definition.
─
It is a lifestyle launched by have-nots for themselves and propagated by the haves after the collapse of the bubble economy in contemporary Japan. The haves and have-nots are not limited to their economic situation but also include personal contacts, authority, skills, cultural background, experience, rights, etc.
─
I believe there are three periods in the history of Seikatsu Kogei.
─
・Early period / the early 2000s: media (galleries, magazines, stylists, etc.) -led period.
・High period / the late 2000s: artist-led period.
・Late period / the early 2010s: concept formation period.
─
In the winter of 2020, the artist Takashi Murakami (born in 1962) and I visited five ‘Seikatsu Kogei’ artists. In the spring of the following year, we interviewed six people who propagated the movement (craft shop owners, essayists, stylists, and designers).
─
As an artist with a critical mind, a question motivated Murakami to study the movement. Does Seikatsu Kogei (albeit unconsciously) represent the post-war Japanese culture like manga and animation? If that is the case, it is urgent to conceptualize the movement before it fades away. He urged me to collect the testimonies of those involved.
─
In the 2000s, I was working in the editorial department of Geijutsu Shincho, writing articles on the Seikatsu Kogei artists. In this sense, my trip with Murakami was like going back to a bygone era with a vague sense of nostalgia. On the other hand, of course, Murakami was not naive in the slightest. He is a patriot who believed in the power of culture and Art. (S)
─────
●Kogei Seika vol.17
・Published in 2022 by Shinchosha, Tokyo
・A4 in size, linen cloth coverd book with endpaper made of Japanese paper
・232 Colour Plates, Frontispiece with Japanese paper made by Wataru Hatano
・Each chapter is accompanied by an English summary and all photographs are with captions in English
・Limited edition of 1200
・18,000 yen (excluding tax)
─
To purchase please click
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=784
─
We accept the payment by PayPal. Worldwide shipment is available. Shipping cost and handling fee vary depending on the size and destination of the ítem. Please feel free to contact info@kogei-seika.jp
20220207
ロシア、ノブゴロドの城塞と、同地聖ソフィア大聖堂ブロンズ扉の「エジプト逃避」場面(12世紀半ば)。『工芸青花』15号特集「ロシアのロマネスク」より。https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika015.html
─
今週です。
─
●講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ75|新約篇4|エジプト逃避
○2月10日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=772
─
金沢さんから……キリストの幼少期のことは、福音書にはほとんど記述がないのですが、民間伝承には奇跡譚などが残されています。講座では、「エジプト逃避」など人気の主題とともに、イエスが子どもとして描かれた美術をみてゆきます。
20220206
「タイの古陶─永田コレクション」特集。知られざる、だった世界的コレクション。展覧会等、一覧できる機会を期待しています。─────
●『工芸青花』17号
○2022年1月刊
○A4判|45R製麻布張り上製本|見返し手漉和紙(石州)
○カラー232頁|ハタノワタル作の手漉和紙を貼付したページあり
○限定1200部|18,000円+税
https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─────
目次
─
1|奈良と骨董 無窮亭河瀬虎三郎
・記憶の花 川瀬敏郎
・どれも「奈良」 小松義宜
・河瀬家二代 杉村理
─
2|タイの古陶 永田コレクション
・タイ陶磁概説 閑野譚
・掘るか広げるか 永田玄
─
3|生活工芸と村上隆
・三谷さんと生活工芸の四〇年 菅野康晴
・三谷龍二さんと松本で 村上隆
・赤木明登さんと輪島で 村上隆
・辻和美さんと金沢で 村上隆
・内田鋼一さんと四日市で 村上隆
・安藤雅信さんと多治見で 村上隆
・松本武明さんと川越で 村上隆
・広瀬一郎さんと西麻布で 村上隆
・平松洋子さんと神楽坂で 村上隆
・高橋みどりさんと南平台で 村上隆
・伊藤まさこさんと代官山で 村上隆
・有山達也さんと馬喰町で 村上隆
・旅の終りに 村上隆
・座談会 生活工芸の作家たち 赤木明登 安藤雅信 内田鋼一 辻和美 三谷龍二 村上隆 菅野康晴
・年表「生活工芸」の時代
─
連載
・ロベール・クートラスをめぐる断章群11 堀江敏幸
─
精華抄 青柳恵介、小澤實、村上隆ほか
石州和紙 若菜晃子
扉の絵 ハタノワタル
20220205
骨董通販サイト seikanet 公開中です(2月14日まで)。さっそく追加出品もありました。https://store.kogei-seika.jp/
─
時代銛、瓢簞形大徳利、珉平焼筒碗、伊万里宝袋形盃、アフリカ十字形貨幣、浄法寺三ツ椀、伊万里連子文碗、フランス時代額、壺屋荒焼徳利ほか。
20220204
『工芸青花』の新刊17号の販売をはじめました(ウェブサイト注文分は今月上旬の発送になります。各地の販売店は、はやいところでは今週末くらいからならぶと思います)。https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─────
●『工芸青花』17号
○2022年1月刊
○A4判|45R製麻布張り上製本|見返し手漉和紙(石州)
○カラー232頁|ハタノワタル作の手漉和紙を貼付したページあり
○限定1200部|18,000円+税
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=784
─────
目次
─
1|奈良と骨董 無窮亭河瀬虎三郎
・記憶の花 川瀬敏郎
・どれも「奈良」 小松義宜
・河瀬家二代 杉村理
─
2|タイの古陶 永田コレクション
・タイ陶磁概説 閑野譚
・掘るか広げるか 永田玄
─
3|生活工芸と村上隆
・三谷さんと生活工芸の四〇年 菅野康晴
・三谷龍二さんと松本で 村上隆
・赤木明登さんと輪島で 村上隆
・辻和美さんと金沢で 村上隆
・内田鋼一さんと四日市で 村上隆
・安藤雅信さんと多治見で 村上隆
・松本武明さんと川越で 村上隆
・広瀬一郎さんと西麻布で 村上隆
・平松洋子さんと神楽坂で 村上隆
・高橋みどりさんと南平台で 村上隆
・伊藤まさこさんと代官山で 村上隆
・有山達也さんと馬喰町で 村上隆
・旅の終りに 村上隆
・座談会 生活工芸の作家たち 赤木明登 安藤雅信 内田鋼一 辻和美 三谷龍二 村上隆 菅野康晴
・年表「生活工芸」の時代
─
連載
・ロベール・クートラスをめぐる断章群11 堀江敏幸
─
精華抄 青柳恵介、小澤實、村上隆ほか
石州和紙 若菜晃子
扉の絵 ハタノワタル
─────
2|タイの古陶 永田コレクション
─
京都にKAFE工船という珈琲店があり、そこは、焙煎家オオヤミノルさんの店なのだが、オオヤさんとはここ一〇年ほど、毎年のように松本で会っていた。おなじ工芸の催事に参加していたので、工芸の話ばかりしていた。いかにも都市の人らしく、彼の話は辛辣で、繊細で、批評家とはこういう人のことだろうと思っていた。
そのオオヤさんが、永田玄さん(一九五二年生れ)に会わせてくれた。ふたりの関係の詳細は知らないが、オオヤさんが永田さんを敬愛(畏敬かもしれない)していることはすぐにわかった。もとマガジンハウスの編集者で、スポーツカーの専門家、ゴルフの指南書を著してヒットさせ、小説を書けば種村季弘が讃辞をおくる。近現代写真の収集家でもある。ほかの顔もあるはずだが、オオヤさんは私に、タイ古陶磁の収集家として紹介した。
撮影したのはごく一部(青花の記事用の選択なので、かたよりがある)。大収集家で、数もあるが、質におどろいた。東南アジアの古陶磁は日本でもいくつかコレクションが知られ、展覧会や書籍で紹介されているが、くらべると、永田さんのタイ陶磁コレクションがいかにつぶぞろいかがわかると思う。永田さんは骨董工芸にかんしては、タイのやきもの(しかも北部が主。かつてタイは南北で王朝がことなり、文化も異風だったという)以外ほとんど手がけていない。収集の契機や経緯をきくと(現地の事情がわかり興味ぶかい)、この質量もさもありなんとは思うものの、ただしきびしくえらんでもいて、そのものさしは、フェラーリやラルティーグの眼利きとしての眼なのだろう。画家(永田力)の家という出自もあるのだろうけれど、撮影のあいだは、永田さんという個性をつちかった「時代」のことを考えていた。S
20220203
2015年の言葉。〈私が競争相手として手ごわいと思っているのは、「生活工芸」の作家たちが作りだすものです。「生活工芸は終った」という人もいるようで、終ってくれると、競争相手がいなくなるから助かりますけれどね。古いものが一番という人がいますが、「生活工芸」を見ると、とてもそんなふうにいえないくらい美しいものが多い。(略)「生活工芸」はやっとスタートラインに立ったところで、これから世界に打ってでてゆく時代になると思います〉(坂田和實「青花の会|講座|好きなものを選ぶモノサシ」より)─────
●『工芸青花』17号
○2022年1月刊
○A4判|45R製麻布張り上製本|見返し手漉和紙(石州)
○カラー232頁|ハタノワタル作の手漉和紙を貼付したページあり
○限定1200部|18,000円+税
https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─
特集1|奈良と骨董 無窮亭河瀬虎三郎
特集2|タイの古陶 永田コレクション
特集3|生活工芸と村上隆
連載|ロベール・クートラスをめぐる断章群11 堀江敏幸
精華抄 青柳恵介、小澤實、村上隆ほか
石州和紙 若菜晃子
扉の絵 ハタノワタル
─────
●講座|工芸と私57|安藤雅信+辻和美+三谷龍二|生活工芸と海外
○2月26日(土)17時@ギャルリももぐさ(多治見)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=775
20220202
『工芸青花』の新刊17号の販売をはじめました(ウェブサイト注文分は今月上旬の発送になります。各地の販売店は、はやいところでは今週末くらいからならぶと思います)。https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─────
●『工芸青花』17号
○2022年1月刊
○A4判|45R製麻布張り上製本|見返し手漉和紙(石州)
○カラー232頁|ハタノワタル作の手漉和紙を貼付したページあり
○限定1200部|18,000円+税
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=784
─────
90ページ強の大特集になりました。村上隆さんはじめ、取材におうじてくださったみなさんに感謝します。
─────
3|生活工芸と村上隆
‘Crafts for Daily Life’ and Takashi Murakami
─
生活も工芸もふつうの言葉だから、「生活工芸」もなんとなく意味はわかるはずだが、二〇一〇年前後から、それとはべつの意味をもつ、ある概念をさす語になった。以下はその、私(菅野)なりの定義。
─
「現代日本のバブル経済崩壊後に、もてる者たちが起動させた、もたざる者たちによる、もたざる者たちのための生活文化。〈もてる/もたざる〉は経済にかぎらず、人脈、権威、技術、地盤、経験、権利等」
─
そして「生活工芸」の時代は、以下の三期にわけられると考えている。
─
・初期/二〇〇〇年代前半─メディア(ギャラリー、雑誌、スタイリスト等)主導期
・盛期/二〇〇〇年代後半─作家主導期
・後期/二〇一〇年代前半─概念形成期
─
二〇二〇年の冬、美術家の村上隆さん(一九六二年生れ)と生活工芸派の作家(器作家)五人をたずねた。それから翌年の春にかけて、生活工芸を起動させた関係者(工芸店主、エッセイスト、スタイリスト、デザイナー)六人を取材した。
─
作家でありつつ批評家でもある村上さんの動機は、生活工芸が、マンガやアニメ同様に(無自覚ながらも)戦後日本を代表する文化たりえているのではないか、という問いだった。だとすれば、ときがたって雲散霧消するまえに、当事者たちの証言をあつめ、歴史化し、しっかり概念化すべき、と発破をかけられた。
─
二〇〇〇年代、『芸術新潮』編集部にいて生活工芸派の記事をつくっていた私も当事者なのかもしれない。その意味で、村上さんとの旅は、昔日へ立ちかえるような、淡い郷愁をともなう旅でもあった。他方で、むろん村上さんにはそんな甘さはみじんもなかった。どこまでも文化芸術の力を信じる、憂国の人だった。S
─────
『工芸青花』17号目次
─
1|奈良と骨董 無窮亭河瀬虎三郎
・記憶の花 川瀬敏郎
・どれも「奈良」 小松義宜
・河瀬家二代 杉村理
─
2|タイの古陶 永田コレクション
・タイ陶磁概説 閑野譚
・掘るか広げるか 永田玄
─
3|生活工芸と村上隆
・三谷さんと生活工芸の四〇年 菅野康晴
・三谷龍二さんと松本で 村上隆
・赤木明登さんと輪島で 村上隆
・辻和美さんと金沢で 村上隆
・内田鋼一さんと四日市で 村上隆
・安藤雅信さんと多治見で 村上隆
・松本武明さんと川越で 村上隆
・広瀬一郎さんと西麻布で 村上隆
・平松洋子さんと神楽坂で 村上隆
・高橋みどりさんと南平台で 村上隆
・伊藤まさこさんと代官山で 村上隆
・有山達也さんと馬喰町で 村上隆
・旅の終りに 村上隆
・座談会 生活工芸の作家たち 赤木明登 安藤雅信 内田鋼一 辻和美 三谷龍二 村上隆 菅野康晴
・年表「生活工芸」の時代
─
連載
・ロベール・クートラスをめぐる断章群11 堀江敏幸
─
精華抄 青柳恵介、小澤實、村上隆ほか
石州和紙 若菜晃子
扉の絵 ハタノワタル
20220201
おどろきました。無窮亭旧蔵の志野織部角鉢。─
骨董通販サイト seikanet 公開しました。今回は自由出品。
https://store.kogei-seika.jp/
─
seikanet 監修者、古美術栗八の高木孝さんの連載「骨董入門」も更新しました。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takagi/023.html
─
〈今回、青花ブログの撮影用にこの鉢を選び、ウブな箱も一緒に撮ってもらうため、器の下に敷かれていた古紙を外したところ、その下からもう1枚、さらに古びた和紙が折り畳まれた状態で出てきました。かつては箱の包み紙であった様で、「安南長角鉢 壱」とあり、裏には「無窮亭蔵」と書かれています。このブログが青花ネットに載る頃に発刊される『工芸青花』17号に、無窮亭(河瀬虎三郎)の特集記事があるときいています。まるで、そのタイミングを見計らった様に現れた無窮亭旧蔵品。撮影の菅野さん共々、その偶然(奇縁)に喜び、驚いた次第です〉
─
●『工芸青花』17号
○2022年1月刊
○A4判|45R製麻布張り上製本|見返し手漉和紙(石州)
○カラー232頁|ハタノワタル作の手漉和紙を貼付したページあり
○限定1200部|18,000円+税
https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika017.html
─────
目次
1|奈良と骨董 無窮亭河瀬虎三郎
2|タイの古陶 永田コレクション
3|生活工芸と村上隆