20190627

バックナンバーの紹介です。前回につづき、『工芸青花』5号から。2章は陶芸家、小川待子さんの特集でした(Machiko Ogawa: Ceramics and the World Before Language Existed)。海外での展示も多い小川さん。現代美術のパトロンとして著名なカタールのマヤッサ王女も小川作品のコレクターで、今春ドーハに開館した国立博物館に小川さんの大作が展示されているそうです。

記事の筆者は井出幸亮さん。話題の新雑誌(工芸誌)『Subsequence』編集長。〈日々、身体を動かす中で偶然によって生じるかたちと、そこに投影する自らの心。その双方向的な変化の過程そのものを、自分自身が発見し、受け入れること。だからこそ、かたちはいつも心に先行してあり、小川さんはいつも「後から気付く」〉

文中、小川さんの言葉です。〈若い頃は「過去」がないから不安だった。(略)だけど、今の私には過去があるから。これから先ジグザグはあっても、きっと間違うことはないんだろうなと、不安でなくなったんです〉

販売中です(会員のかたは1冊にかぎり3割引き)。
https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika005.html









20190626

『工芸青花』は一部ですがバックナンバーも販売しています(会員のかたは3割引き。1冊にかぎりですが)。写真は5号の「板と私」特集。50数ページあり、この号では最多の記事でした。目次は以下です。みなさんのお気に入りの板を撮影、掲載しています。

・板極道の入口で 小澤實(俳人)
・歴史の形見 青井義夫(甍堂) 
・漆喰とバスク 内田鋼一(陶芸家)
・朝鮮の餅板 大塚潔(大塚美術)
・奈良古材 川瀬敏郎(花人)
・茶の敷板 木村宗慎(茶人)
・謙虚さ 坂田和實(古道具坂田)
・長い床の間 高木孝(古美術栗八)
・板切れの美 吉田昌太郎(アンティークスタミゼ)

板とか山茶碗(11号)とか、一見なんでもないもののほうが「人」があらわれて、みどころ(読みときたくなる複雑さのようなもの)も多くなり、つくっていてもたのしい記事になります。もちろん、単純な記事なんてないのですが。
https://www.kogei-seika.jp/book/kogei-seika005.html













20190624

『工芸青花』次号12号は今夏刊行。編集作業まっただなかです。写真は札幌の古道具十一月さん。アイヌ特集の取材でした。あらたな切口がみつかり、ありがたいことでした。

会員(定期購読)募集しています。よろしければぜひ。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4





20190618

あらたな催事のお知らせです。7月末からの展示は「歴史のかけら:古代と中世の西洋骨董」展です。写真はエトルリア、古代ギリシア、ローマのフィブラ(留金具)。

「坂田さんは美のかけら、俺たちは歴史のかけらなんだよね」。仏教美術と民芸の眼利きとして知られるベテラン骨董商の言葉です(坂田さんとはあまり接点はないものの、たがいに敬意を表しあうふたりです)。名言だと思います。そこから借りました。出品者はサンクトペテルブルク在住の毛涯達哉さん(1980年生れ)。欧米でなく、ロシアという背景にもひかれます。大学院で古生物学を学んだ学究肌で、古物を史料ともみて歴史を学ぶ姿勢に骨董的将来を感じます。歴史家ふたりとの鼎談もおこないます。

■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話41|ヘラクレス|12の難行その3|英雄像の多様性
□7月4日(木)18時半@自由学園明日館(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=281

■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ48|ロマネスクの宇宙7|楽園と地獄
□7月18日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=282

■展覧会|歴史のかけら:古代と中世の西洋骨董
□7月25−28日+8月1−4日@工芸青花(神楽坂)
*7月25日は青花会員と御同伴者のみ
https://www.kogei-seika.jp/gallery/20190701.html

■講座|工芸と私32|金沢百枝+河島思朗+毛涯達哉|古代と中世の西洋骨董
□7月25日(木)18時半@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=283





20190617

あさって水曜(19日)夜は、金沢百枝さんの講座「キリスト教美術をたのしむ/ロマネスクの宇宙/聖母子」です(於自由学園明日館@目白)。募集中です。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=279

〈聖母子図は、古くはオリエントが起源という説もあります。ロマネスクの聖母子像の展開について、また「聖母崇敬」のことなどもお話したいなと思っています。母と子のあいだでかわされる愛情をゆたかに表現した美術作品もみてゆきます〉(金沢さんより)

写真は金沢さんとたずねたアッシジ、サン・フランチェスコ聖堂の壁画(右頁がチマブーエ、左頁はピエトロ・ロレンツェッティ)。聖母子の輝きは窓からの夕日です(金沢百枝+小澤実『イタリア古寺巡礼 フィレンツェ−アッシジ』より)。





20190614

青花では『工芸青花』以外にも、本を編集、刊行しています。〈李朝の工芸にひかれる方はもちろんですが、骨董にあまり関心をもてないという方にも、読んでもらえたらうれしいです。「文は人」とはこのことか──という名文です〉

■李鳳來『李朝を巡る心』
□B5判 上製本 箱有 カラー112頁
□2016年3月30日刊
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=87

〈私には、商売という仕事以上に、本当はそちらのほうが好きなことがある。父の国が生んだ美は一体どこから来たモノなのか、見極めたい探究心がある〉〈この本では私が出会った美しいヒトを書いた〉(本書より)

〈美しいもの心惹かれるものに出逢うと、李さんの佇まいを想い浮かべることしばしばである〉〈滝の水を浴びた心持ちを覚えた。ひとは、このように生きることができる〉(平松洋子/『東京人』201608)



















20190610

高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。「本気」度のたかい文章でした(原論的、という意味です)。
https://www.kogei-seika.jp/blog/takaki/029.html

〈優れた仕事がもつ固有の歴史と時間を奪われ、単にマチエールを表現する材料として、「今」に奉仕させられることで、工芸はあっという間に歴史性を欠いた雑貨になってしまう。貧しさから生まれた工芸が、豊かさのための道具、差異を表現するための雑貨と化しているのを見るのは辛い〉〈このごろ、工芸とは貧そのものではないか、という気がしてなりません〉

写真は『工芸青花』10号「坂田和實の眼 酒袋」より。





20190610

『&Premium』7月号に安藤雅信さん『どっちつかずのものつくり』の書評。筆者は岡本仁さん。文中、熊本でおこなわれた村上隆さんの「バブルラップ」展への言及があり、連載次回は松濤美術館「坂田和實展」図録書評とのこと。温室的/流行的「おしゃれ/センス」の文脈で古道具坂田の歴史的/思想的意義を矮小化するな、というのが村上さんの一貫した主張だと思うので(『工芸青花』次号12号で特集します)、岡本さんのつっこんだ評がたのしみです。(菅野)





20190609

「青花の会/骨董祭2019」終了しました。古いものと、いまの人。今年もよい会になりました。出展者のみなさんのおかげです。おつかれさまでした。ありがとうございました。(菅野)























20190608

「青花の会/骨董祭2019」、2日目終了しました。天候にめぐまれ、今日も多くの方がいらしてくださいました。ありがとうございました。
https://www.kogei-seika.jp/seikafes/2019.html

明日9日(日)が最終日です(11−17時)。写真は明日から販売する、9日限定の各出展者推奨品です(詳細は以下アカウントを御覧ください。事前予約・販売NG)。お待ちしております。
https://twitter.com/seika_fes
https://www.facebook.com/seikafes/
https://www.instagram.com/seika_fes/











20190607

今日は「青花の会/骨董祭2019」の初日(内覧会)でした。雨にもかかわらず、(おそらく例年よりも)多くの方がいらしてくださり、感謝しております。明日あさっても11時から神楽坂6会場で開催します。毎年、古器にいれられた花もたのしみにまわります。(菅野)
https://www.kogei-seika.jp/seikafes/2019.html























20190604

「青花の会|骨董祭2019」、もうすぐですね。今週金曜(7日)17時から。7日は青花会員(+御同伴者1名)と御招待者(すでに入場券をおもちのかた)の内覧会(販売もします)。神楽坂6会場で9日までつづきます。
https://www.kogei-seika.jp/seikafes/2019.html

写真は出展者36名による7−8日の推奨品全点(詳細は以下アカウントを御覧ください。事前予約・販売NG)。9日限定の推奨品もあります。
https://twitter.com/seika_fes
https://www.facebook.com/seikafes/
https://www.instagram.com/seika_fes/

大塚 いまの骨董はいろんなやり方がありますが、3人は美術倶楽部をはじめとする業者の会に所属していますね。なぜですか。
肥後 それはやはり骨董の王道、例えば10年後も価値観が変らない世界だと思うから。古陶磁、なかでも桃山陶が好きだったし、大塚さんが専門の李朝も勉強したいと思っていたので、それらのよいものを扱いたいなら会に入らないと難しい。
清水 僕は坂田さんの本からも影響を受けましたが、あの道(古道具)では僕の知識の大半が生かせないと思いました。それならば、学んだことを生かせる道でまずはやってみようと。ただし最初はなんでもやりましたよ。僕のように古美術店で修行をしていない者の弱みは、好きなものだけを扱うことで視野が狭くなることだと思っていたので、店を始めた時、意識的にかなり分野を広げたのです。

入場者(有料。青花会員は無料)には小冊子を配布しているのですが(骨董祭限定)、今年は「若手本格派が語る骨董の現在」と題した1万字の座談会記事を収録しています(安東敬三+肥後崇司+清水喜守+大塚潔)。これがとてもおもしろかった。上記はその一部で、肥後さんの〈10年後も価値観が変らない世界〉との言は、「旬」を追いかけがちな出版業界にいる者として(工芸界をアイドル業界にたとえた人もいましたが)、吟味しつづけたいと思います。以下は座談会のリードです。〈三人の共通点は、跡継でないこと、修行していないこと、外部からは閉鎖的に見える「組織」に属していること。なぜ骨董屋になったのか、「組織」の意義はなにか、真贋をめぐる倫理とは──同様の共通点を持つ先輩であり、骨董祭の世話役である大塚さんを聞き手に、骨董の未来を担う三人が語ります〉











20190601

森岡督行さんの「森岡書店日記」更新しました。今回は今年4月の日記。17日の項に『ゆるく考える』読書会、とあります。私も東浩紀さんの本にはいつもヒントをもらっています。写真は妹島建築の図書館。工事中からみていて、生活工芸派の「ゆるさ/ふぞろい」とかさねられないかと思っていました。(菅野)
https://www.kogei-seika.jp/blog/morioka/039.html




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