20171031
今週も木曜からですが、11月12日まで「工芸と白」展開催中です(於神楽坂一水寮。木金土日の12−19時)。……
〈木の性質を読み、木の目を美しく見立てて、形をととのえるまでが、彫るもの挽くものの仕事。塗らぬ。磨かぬ。その未完の器を、客は持ちかえり、拭きこみ、使いこんで見事な色艶に仕上げてゆく〉〈都会の暮らしの中で失ったもの。部屋の中の自然なもの、梁や柱や障子などの木で作ったもの。われわれはいま、一個の赤杉のせいろうに杉の障子の幻影を見ようとしている〉(秋岡芳夫『木(しらき)ー日本人のくらし』)
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白の展示に素木の器がでていても違和感がないというのは、よく考えるとふしぎなことです。「木」と「白」に共通するものはなんでしょう。写真はデルフト白釉皿と、小山剛さん、富井貴志さん、大谷哲也さんの新作、近作。S
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
20171028
11月12日まで「工芸と白」展、開催しています(於神楽坂一水寮。木金土日の12−19時)。12名の出品者による80点ほどの展示(販売)です。……
〈十年来、オランダの運河から発掘された、文様のない白釉の陶器だけを集めていた。英国で古陶器紹介の仕事を永く続けている知人の骨董商にその写真を見せたところ、ウームとうなって、ただ一言「ボアリング!(何んとたいくつな)」〉(坂田和實『ひとりよがりのものさし』)
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〈以前、坂田和實さんとデルフトの白磁についてとりとめもないお喋りをしていると、寡黙な彼がこんなことを話してくれたことがある。同じような形の李朝白磁と伊万里の白磁とデルフトの白磁の中皿がたまたま手に入って眺め暮らしたことがあったが、白の柔らかさという点でデルフトが一番だった、と。私はこの話を聞いていろいろな意味で感動した〉(青柳恵介『骨董屋という仕事』)
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モランディの壜が美しいのは壜のデザインが美しいからではないし、美しさはかたち(輪郭)とか構図とそれほど関係がないのではないかと思うようになりました。あたりまえですが線は面のためにあるのだなと今回思いました。S
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
20171027
昨夜は古典学者河島思朗さんの講座「ギリシア・ローマ神話27 酒神ディオニューソス(バッカス)の誕生」でした(於神楽坂一水寮)。いつものように多くの画像、地図、原典をわかりやすく解説、解読してゆきます。ディオニューソスは異邦人性、他者性をもつ神であり、祭儀における仮面の使用はそのあらわれであり、それがおそらく古代ギリシアの仮面劇の淵源......という筋立にひきこまれました。次回は11月9日(木)夜、はじめての方でも理解できる内容です。お待ちしております。Shttps://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=196
20171026
〈「しろ」あるいは「しろい」は、本来、夜明け前の東の空の情景を形容する「しらみ」あるいは「しらむ」からきています。(略)日本文化においては、神聖顕現を表わす白が、いいかえれば、新しい生成の可能性を秘めた白が「誕生」も「死」も共に媒介しているのです。(略)飾りはそれゆえ基本的に「白」であったのだといえるのではないか〉(向井一太郎・向井周太郎『ふすま』)……
「工芸と白」展、今日からはじまりました(神楽坂一水寮)。11月12日まで、木金土日の12−19時にあけています。12名の出品者による80点ほどの展示(販売)です。(現代の)白にはいわば消極的白と積極的白があり、ちがいは〈顕現〉性の有無かもしれません。写真は展示より、中澤希水さんの書《気配》(部分)。S
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
20171025
あさって26日から「工芸と白」展です(11月12日まで神楽坂一水寮。休廊日あり)。出品者12名の方々から品物が無事とどきました。みなさんお忙しいさなかにありがとうございました。……
今展の趣意文は桃居の広瀬一郎さんにお願いしました。〈2000年代に入って間もないころ、「白いうつわ」ブームというものがありました。誰かが仕掛けたブームというよりも、ある種の集合的無意識が呼びだした必然だったのではないかと、いまはおもいます。(略)ブームは去りましたが、白いうつわがなぜあれほどに必要とされたかというテーマはさまざまに読み解くことが可能な課題としていまも目の前にあります。そしてブームは終わっても、白いうつわは作りつづけられています〉
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
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英仏独蘭、中印、李朝、江戸、現代──とどいたさまざまな「白」をまえに、どこから、なにを考えればよいのかややぼうぜんとしていました。写真は袱紗の雲の文様。気持をかるくしてくれる雲形です。刺繡作家の三原佳子さんがさきほどとどけてくださいました。三原さんの工房も一水寮にあります(青花の真上です)。11月1日から12日まで「秋の工房展」を開催されるとのことで(要予約)、ぜひ(文字どおり)はしごしてください。S
http://sisyu-tuyukusa.com/wp/info/
20171023
ニットライター鳥古繰子さんのブログ「毛糸的世界」更新しました。前回にひきつづき、巨大な編みものサイト(会員が世界中に730万人、日本でも5000人いるという)「ラベリー」をはじめたふたりの話です。〈ジェシカ「実のところ、どうしてこれほどたくさんの人たちが参加してくれるのかはよくわからない。こんなにみんなが協力してくれることにも、ずっと驚いている。(略)ひとりでに大きくなっていったの」〉。詳しいしくみはわからないけれど、サイトの運営はおもに会員/ボランティアがおこない、ふたり(写真)はなるべく自分たちの影をうすくするようにこころがけているという。いまもふえつづける会員、ラベリーにつどう人々。次回もつづきます。Shttp://www.kogei-seika.jp/blog/tricoquelicot/017.html
20171021
神楽坂も雨ですが、今日(土)明日(日)、一水寮の展示室あけています(12−19時)。本や器、絵葉書、写真、毛糸など販売しています(写真は金沢百枝さん監修、佐藤祐子さん制作のロマネスクアクセサリ。楽園の木の図像をもとにしています)。http://www.kogei-seika.jp/gallery/
来週26日(木)からは、12人の出品者による「工芸と白」展です。素材も時代も地域も、解釈もさまざまな白。みてなにを思うのか、いまからたのしみにしています。S
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
20171019
今夜は目白の自由学園明日館で金沢百枝さんの講座「キリスト教美術をたのしむ30」でした。月1で30回......金沢さんとみなさんにあらためて感謝いたします。今夜のテーマは「最後の審判」でした。いつものようにたくさんの、みたことのない中世(おもに)の美術作品をみてゆきます。小審判(個人の死)と大審判(世界の終り)があることを知りました。天国のイメージが救いであることもあらためて。明日館はFLライト設計の学校建築。ここに毎月かよえることも仕合せです。次回は11月16日(木)「聖母子図」です。Shttps://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=197
20171018
今朝は銀座の古美術祥雲で撮影でした。撮影とはべつに、座右においてたのしめそうな宗教美術の品々を拝見しました。10月21日から1階のギャラリー Orient Occident/祥雲でチェコの写真家イレン・ステリ展が開催されます(11月11日まで)。Sfacebook.com/orient.occident.ginza/-posts/668019220067276
20171017
昨日から大分。古美術花元のAさんをたずね、夜は別府鉄輪温泉の柳屋泊。初対面の作家Nさんと話しました。今日は大分市のカフェ、サリーガーデン/望月通陽ミュージアムへ。よい展示でした。写真は柳屋さんのロビー。Shttp://www.antique-kagen.com
http://www.beppu-yanagiya.jp
http://www.sallygarden.jp
20171014
今日は中村好文さんの講座「住宅設計入門」の第2回。中村さん設計の住宅3軒を時間をかけて(午前から夜まで)見学しました(Yさん、Mさん、Eさん、ほんとうにありがとうございました)。来月は最初の課題提出日です。Shttps://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=188
20171014
昨日の朝は川瀬敏郎さんの花の撮影、夜は銀座で matohu のショウでした。コレクションのテーマは「かざり」。概念を現実化する花と、現代化する服。10月29日まで東急プラザ銀座6階で matohu 展開催中です。Shttp://www.matohu.com/news/index.html
20171012
「絵と言葉」展、今日から再開しました(神楽坂)。日曜日(15日)が最終日です。望月通陽さんの作品とともに、メキシコのブリキ絵も展示販売しています。ブリキ絵は感謝のしるしとして教会にささげられた奉納画。詞書があり、たとえば写真の絵は「間違えて夫を撃ってしまいましたが、グアダルーペの聖母の御加護で一命をとりとめ、平癒しました。1914年」。日本ではあまりみる機会のないものと思います。よろしければおはこびください。Shttp://www.kogei-seika.jp/gallery/20170901.html
20171012
高木崇雄さんのブログ「工芸入門」更新しました。今回は谷由起子さんとラオスの豆敷の話です。〈そう聞くと、谷さんは手仕事を守る、意義深い仕事をしている、とつい思ってしまいがちですし、現にそのような紹介のされ方をすることも多いのですが、僕にはどうも、谷さんは自分がしていることを「いいこと」だとは思っていないように見えます〉。あたりまえですがかんたんなことなんてないんだ、でもだからこそとりくむ意味がある、と読んで思いました。Shttp://kogei-seika.jp/blog/takaki/009.html
20171011
今後の催事のお知らせです。—
■展覧会|工芸と白
□10月26−29日+11月2−5日+9−12日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
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■展覧会|工芸と青
□11月23−26日+11月30日
・12月1−3日+7−10日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171101.html
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11月の講座です。
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話28|ディオニューソスの物語
□11月9日(木)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=196
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■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ31|新約篇12|聖母子図
□11月16日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=197
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以下も引続き開催、募集しております。S
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■展覧会|工芸とはなにか1 絵と言葉
□9月29-30日+10月1日+5-9日+12-15日@工芸青花(神楽坂)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20170901.html
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■講座|金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ30|新約篇11|最後の審判ほか
□10月19日(木)18時半@自由学園明日館ホール(目白)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=194
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■講座|河島思朗|ギリシア・ローマ神話27|酒神ディオニューソスの誕生
□10月26日(木)19時@一水寮悠庵(神楽坂)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=195
20171011
今日は福岡県吉井の杉工場で mon Sakata 40周年展の取材でした。壁には坂田敏子さんの制作メモがびっしり、読みごたえありました。会期は14日までですが、一部は今月下旬まで継続展示されるそうです。Shttp://www.sugikouba.com/showroom.html
20171010
駒場の民藝館でウインザーチェアの撮影でした。国内外とわずあまり語られることのなかった「西洋工芸の美」を提示する、民藝館ならではの展示ということでは、2004年のスリップウェア展につづく意義ある展観だと思います(11月23日まで)。11月11日(土)夜には美術史家・金沢百枝さんの講演「ロマネスクと柳宗悦」も。Shttp://www.mingeikan.or.jp/events/special
http://www.mingeikan.or.jp/events/relation
20171007
午后も京都、古門前の SHINYA で撮影でした。写真はウインドウの高瀬好山。自在置物で、蜂は針が出入りし、カミキリムシの触角は節ごとにうごきます。近代工芸の職人技巧をまのあたりにできる場所ですが、手と眼の関係において「転機は大正?」という話をしました。Shttp://www.shinya-art.com
20171006
午前中の京都は雨。古門前の現代美術艸居で打合せでした。「森綾・川浦紗季」展の初日、常設でユン・ヒチャン作品がみられたのもうれしいことでした。Shttp://gallery-sokyo.jp/index.html
20171006
良寛すごい。揮毫をたくさん頼まれて、なるべく断っていたのに、「今日こそ書いてもらおう」と無理強いする相手には相手の言葉(今日こそ書きつれ)をそのまま揮毫。しかも絵はドクロ。Tシャツか。岡山県立美術館の良寛展より。浦上玉堂はじめ岡山ゆかりの展観はいつも充実している印象です(良寛は岡山の円通寺で修行)。 Shttp://okayama-kenbi.info/exh-20170929/
20171006
高松市屋島の「四国村」は山麓に四国の古民家が点在する民家園。砂糖、醤油ほか産業遺産もみごたえがあります。安藤忠雄建築のギャラリーもあり、いまはボナール、スーチン、ローマングラス、ラスター彩などコレクション展でした。写真は燈台守の小さな家。取材も終り、併設の「わら家」でうどん、しょうゆ豆、熱燗をのんで(肌寒いので)、岡山、京都へむかいます。Shttp://www.shikokumura.or.jp/
20171005
高松にきました。海のそばの book marute。内外の現代の注目すべき写真集がそろっています。香川の本もいろいろ。『工芸青花』もおいていただいています(四国ではここだけ)。TさんHさんありがとうございました。コーヒーおいしかったです。明日は四国村。Shttp://book-marute.com/
20171005
「絵と言葉」展、今日から再開します(工芸青花@神楽坂)。「染物屋と名のりたくても名のれない。職人ほどの技術がないから。自分は染色家でしかない」。先日の望月通陽さんのお話で印象にのこった言葉です。工芸と美術の近代について、歴史家とはまたことなる、技術とはなにかを知る人の含羞であり、自負の言葉でもあるようにききました。Shttp://www.kogei-seika.jp/gallery/20170901.html
20171004
10月26日から「工芸と白」展、11月23日から「工芸と青」展を開催します(工芸青花@神楽坂)。出品者は以下の方々(白のみ、青のみの方もいます)。多くの方に御覧いただけましたら幸いです。S—
▫️今村友宣(画家)▫️内海徹(gallery uchiumi)▫️大治将典(手工業デザイナー)▫️大谷哲也(陶芸家)▫️太田ゆかほ(月日荘)▫️小林和人(Roundabout/OUTBOUND)▫️小山剛(木工家)▫️志村晃良(志村道具店)▫️富井貴志(木工家)▫️中澤希水(書道家)▫️広瀬一郎(桃居)▫️松本武明(うつわノート)▫️三原佳子(日本刺繍作家)
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171001.html
http://www.kogei-seika.jp/gallery/20171101.html
20171003
ブログ2本、更新しました。鳥古繰子さんの「毛糸的世界」、森岡督行さんの「森岡書店日記」です。「毛糸」はアメリカの(世界の?)ニット界をかえたオンラインサイト「ラベリー」のはじまりの話。「森岡書店」は今年8月の日記です。〈店舗終了後、小林和人さん来店。ルパンにてビールを一杯。そのあと新宿に移動し、岐阜屋にてシュウマイと餃子、ビール。そのあと、イーグルにてビールを一杯〉。夏ですね。Shttp://www.kogei-seika.jp/blog/tricoquelicot/016.html
http://kogei-seika.jp/blog/morioka/024.html
20171002
若菜晃子さんの新刊『街と山のあいだ』(アノニマ・スタジオ)。山と、山を愛する人たちを若菜さんの視点で(それがはっきりとあるのでたのしい)つづった随想集です。山登りのことはほとんど知らないのですが、それでも、読みおえるのが惜しい本、文章でした。……
10月12日(木)夜、青山ブックセンター本店で若菜さんのお話をうかがいます。かつて担当した若菜さんの本で、若菜さんがすすんでおこなう常軌を逸した作業の量におどろいたことがあります。若菜さんの本や雑誌(『murren』の編集兼発行人です)はきっといつもそうです(一見そうはみえないのですが)。いつからそうなのか、なぜそうするのかなど、いろいろきいてみたいと思います。S
http://www.aoyamabc.jp/event/wakana/
20171001
昨夜は染色家・望月通陽さんの講座でした(聞き手は高木崇雄さん)。ありがとうございました。〈何げない言葉の連なりの中に、刺激的な問題が隠されていて(略)作家の肉声を聴き、その佇まいに触れることで見えてくるものがある、とあらためて感じました〉(参加者のアンケートより)。「つくる人間の現場」の声として発せられた、民芸や美や古いものへの、それらを語る言葉(作り手の手をまどわせる言葉)への懐疑──記事にしてのこすべき内容と思いました。写真は講座後、もとめられて自著にサインする望月さん。望月通陽作品とメキシコのブリキ絵を主とする展覧会「絵と言葉」、神楽坂で開催中です。Shttp://www.kogei-seika.jp/gallery/20170901.html