20160730
先週27日夜は、建築家・中村好文さんの講座「住宅設計入門」でした。教室はFLライト設計の自由学園明日館です(青花の講座はここをお借りすることが多いですが、すすめてくれたのは中村さんです)。全5回のうち3回目の今回は、はじめての課題提出日でした。世田谷に実在するある敷地に自分が住みたい小住宅を建てる、という設定で、各自プラン(平面図、立面・断面図)を描きます。その意図をひとりずつ説明し、中村さんと具体的にやりとりします。
吉村順三が住宅設計について語ったすばらしい本がありますが(『住宅作法』。聞き手は中村さんでした)、あの本のように、中村さんと受講者のみなさんのやりとりのあちこちに、住宅のこと、暮しのこと、そして仕事のことなどについての洞察、言葉があらわれるのでした。S
20160729
昨日からスイスにきています。美術史家の金沢百枝さんと、中世ロマネスク聖堂の取材です。スイスとロマネスク、金沢さんから提案されるまで、むすびつけて考えたことはなかったのですが(プロテスタントがつよい国なので、あまりのこっていないと思っていました)、ゾディアック叢書にはスイス篇が1冊あり、建築、彫刻、壁画、金工、そしてもちろん風景がすばらしいのでした。ひろさは北海道の半分くらいで、チューリヒからジュネーヴへ、おもに南をぐるっとまわります。今日は国立博物館で撮影です。もろもろ仕事をかかえてきています。いまも『工芸青花』次号の表紙を確認していました。次号6号は9月刊です。スペイン・ロマネスク、中村好文さんとドイツの美術館、川瀬敏郎さんと李朝、若菜晃子さんと青い花、堀口捨己の数寄屋といった内容です。くりかえしで恐縮ですが、7月末までに青花の会に御入会いただいた方には、『工芸青花』は6号からお届けします。よろしければぜひ御検討ください。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4
20160724
今日、7月24日(日)の午後は、茶人の木村宗慎さんの講座「古美術入門5」でした。会場は神楽坂のMGPスタジオです。木村さん、いらしてくださったみなさん、ありがとうございました。今回のテーマは「次第─道具の衣装」。ととや茶碗や名物茶入などの中身と次第を実見し、手にとりつつ、木村さんの解説をうかがいます。「次第を大事にすることは、古人の思いを尊重すること」
また、会のはじめには、「古美術を知るにはやはり買うこと。そういう健全な素人のための講座でありたい」とのお話がありました。もちろん、まなぶことじたいがたのしみになることもありますが、たしかに、骨董のたのしみは実践が不可欠かもしれません。
木村さんの講座、次回は8月5日(金)夜です。会場は京都の千總ギャラリー。まだすこし席がありますので、よろしければぜひいらしてください。きれいごとではない覚悟が工芸の歴史をつないできたことに、気づくことができます。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=110
20160720
さきほど青花の会員の方々に、9月の催事の御案内をメイルでお送りしました(もし届いていない方がいらしたら、お手数ですが以下までお知らせいただけましたら幸いです。info@kogei-seika.jp)。郵送の方は明日発送します。写真はスペイン、サン・イシドロ聖堂(レオン)の図書室。『工芸青花』の次号6号で特集します(9月刊予定)。7月末までに御入会いただいた方には、6号からお届けします(8月以降は7号から)。引続き、よろしくお願いいたします。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4
20160719
7月14日(木)夜、自由学園明日館(池袋)にて、河島思朗さんの講座「古代ギリシア・ローマ神話12」を開催しました。今回は特別編、テーマは「オリンピックの起源」です。ポリスの誕生と同時期に始まった古代オリンピックは、1000年以上続いたのち、ローマのキリスト教国教化により、異教の祭典とみなされ、禁止されました。つまり、古代オリンピックは宗教的祭儀でした。オリンピックが「平和の祭典」なのも、期間中はポリス同士が休戦協定を結んだからです。
オリンピックが成立した背景には、古代ギリシアの「アゴーン」文化がありました。アゴーンは競争、試合を意味し、政治の弁論から劇の上演まで、「競争する者+一定のルール+判定者」によって成立します。オリンピックも民主政治も古代ギリシアで始まったのは、偶然ではないようです。
次回は8月18日(木)「ゼウスとヘーラー:イーオーをめぐる物語」です。U
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=109
20160718
民芸は民芸館で「まなんだ」感じなのですが、いわゆる生活工芸は同時代的に「体験した」感覚があるので、『工芸青花』の次の次の号くらいで、記事をつくろうと思っています。以下は今年5月、松本で「工芸のウチソト展」に参加したときに提出したコメントです。「工芸」とは、ひとまず、「人の手によりつくられた道具」としました。〈1999年から2003年まで坂田和實さん(1945年生れ。「古道具坂田」主人)の連載を担当し、そのあと本にまとめました。坂田さんのあつかう品物の多くは「かつて道具だったもの」であり、じつはもう「つかえない/つかわない道具」です〉
〈道具としての用をなさない物体に、坂田さんはあらたに「美」という価値を附与します。そして、その美は日用の、どちかといえばありふれた道具だったことに由来する、と説きました。やはり柳宗悦の影響だと思います〉
〈坂田さんのパリの買いつけに同行したとき、「道具はありふれているけれど、美はありふれていない」ことに気づきました。坂田さんの眼にかなうものがごく稀だったからです〉
〈柳宗悦も坂田さんも、かつて道具だった物を、道具としてではなく、物体として鑑賞する人でした。みる人であり、つくる人でも、つかう人でもありません(よって、ふたりは利休に似ていないと思います)〉
〈美(美術)は工芸の「ソト」にあったはずです。それを「ウチ」のものとして語ったのが柳宗悦と坂田さんでした。その影響下、民芸派と生活工芸派の作家たちは、工芸と美の両立をめざします。工芸にとって美とはなにか、それはなぜ必要なのか。柳や坂田さんの仕事を考えることは、そうした問いを問うことでもあると思います〉
このあとすこし考えがかわって、工芸と美はそもそも(たぶん旧石器時代から)切りはなすことができず、優劣、格差も必然的に生じるものなので、あとはそれとどうむきあうか、と考えるようになりました。鞍田さん、高木さんとは、こうしたことも話せたらと思っています。S
20160716
取材もすみ、原稿もそろい、あとは机仕事(というか画面仕事)なのですが、『工芸青花』の次号6号は9月刊になりそうです……。李朝と花、スペイン・ロマネスク、数寄屋とはなにか、ほかです。7月末までに青花の会に御入会いただいた方には、次号6号よりお届けします(8月以降は7号からになります)。よろしくお願いします。https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4
『工芸青花』5号もひきつづき販売しています。先日は「板」特集のページをあげたので、今回は小川待子さん。取材は今年の1月でした。文章は井出幸亮さんです。小川さんや助手の方たちと浜辺の食堂(伊豆)へいったことも、よき思い出です。
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=88
工藝風向の高木崇雄さんが『李朝を巡る心』(李鳳來著/新潮社刊)の書評を書いてくれました。この文章でもそうですが、高木さんが「柳への愛」を語りつづける動機を、ちゃんときいておこうと思っています。9月1日に、鞍田崇さんとの対談をお願いしました。鞍田さんも民芸と工芸について語りつづけている哲学者です。私はおふたりのように、柳や民芸について語りつづける動機をもっていないので、その立場から、いろいろきければと思っています(詳細決りしだいお知らせします)。S
https://tmblr.co/ZyFbxv28LioT6
20160712
あさって14日(木)夜は、古典学者・河島思朗さんの講座「ギリシア・ローマ神話」です。今回は特別篇、テーマは「オリンピックの起源」です(写真はギリシアの古代競技場跡)。〈ギリシア・ローマ神話の講座が始まってから1年が経ちました。ちょうどリオデジャネイロ・オリンピック開催年でもありますので、節目の今回は「オリンピックの起源」をたどる特別編にしたいと思います。古代のオリンピックもスポーツの大会でしたが、神話と深いかかわりがあります。また平和の祭典として社会的にも重要な意味がありました。神話が息づく古代ギリシアを、オリンピックをとおして見つめてみましょう〉(河島さんより)
東博でも特別展「古代ギリシャ」が開催中です(9月19日まで)。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/
index.php?id=1787
開場は自由学園明日館(目白と池袋のあいだ。この時期の夕刻、とても心地よいです)。はじめての方もどうぞお気がねなく御参加ください(詳細、お申込みは以下より)。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=91
20160711
7月7日(木)七夕の夜、自由学園明日館(池袋)にて、金沢百枝さんの講座「キリスト教美術をたのしむ16」を開催しました。今回の主役は「ダニエル」と「ヨナ」。ともに聖書の記述はみじかく、やや地味な預言者ですが、ダニエルは獅子の洞窟に投げこまれるも生還、ヨナは海に放りこまれ、巨大な魚に呑みこまれるも生きのびるという、キリスト教では「復活」「救済」の象徴です。古代末期から好まれたモチーフで、お墓などによく見られるとのことでした。ダニエルになつく獅子、なぜか坊主頭に描かれることが多いヨナなど、「なんともいえない」ゆたかな表現をたのしみました。
次回は8月26日(金)夜、そこで旧約のお話はひとくぎり。内容は旧約聖書の女性たちです。まだすこし席がありますので、ぜひ御参加ください。U
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=108
20160710
昨日は川瀬敏郎さんの講座「日本の花|私たちはなぜ花をいけてきたのか」の第1回でした(京都教室)。川瀬さん、受講者および会場の思文閣のみなさん、ありがとうございました。S20160707
次号の作業がつづく初夏の日々ですが、『工芸青花』5号も発売中です。もっともページをさいた特集は「板と私」。画像はその冒頭です(5号の詳細、御注文は以下より)。https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=88
次号は8月末か9月刊の予定です。7月末までに青花の会に御入会いただいた方には、次号6号よりお届けします。よろしければ御検討ください。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=4
20160705
李鳳來著『李朝を巡る心』(新潮社青花の会刊)の書評が出ました(『東京人』8月号)。筆者は平松洋子さん。〈その清廉かつ厳正な審美眼によって、一九七二年開店以来、孤高ともいうべき独自の姿勢を貫いてきた著者の姿を、私は長年まぶしいものとして眺めてきた〉
〈美しいもの心惹かれるものに出逢うと、李さんの佇まいを想い浮かべることしばしばである〉
〈滝の水を浴びた心持ちを覚えた。ひとは、このように生きることができる〉
うれしいです。キャプションに書店販売なしとありますが、『工芸青花』と同様、直販で卸しています。よろしければお問合せください(info@kogei-seika.jp)。
青花のウェブサイトでも販売中です。S
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=87
20160701
来週7日(木)夜は、美術史家・金沢百枝さんの講座「キリスト教美術をたのしむ16」です。おもに中世絵画や彫刻をみながら聖書を読んでゆく講座で、次回は旧約の預言者(獅子穴に落ちた)ダニエルや(魚にのみこまれた)ヨナの物語。これまでの取材でも柱頭彫刻や床モザイクなど、ユニークな作品と出会ってきた主題なので、「ロマネスク美術をたのしむ」回にもなるような。はじめての方にもたのしんでいただけたらと思っています。S■金沢百枝|キリスト教美術をたのしむ16
□7月7日(木)18時半@自由学園明日館(池袋)
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=90