会期|2024年7月26日(金)−30日(火)
*7月26日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13時−20時
会場|工芸青花
東京都新宿区横寺町31 一水寮(神楽坂)
出品|タナベシンスケ(画室)
講座|譽田亜紀子+タナベシンスケ|土偶と埴輪
日時|7月26日(金)18時−20時
会場|悠庵
東京都新宿区横寺町31 一水寮(神楽坂)
https://store.kogei-seika.jp/products/lecture-kogei-77
タナベ シンスケ TANABE Shinsuke
1961年岡山県倉敷市生まれ。1981年、スクリーン印刷工房として創業後、1987年、生活雑貨の企画メーカーとして有限会社倉敷意匠計画室を設立。2012年、ギャラリーを併設する直営店開店をきっかけに、「フランス白磁展」を開催。以後の古物企画展は、テーマを変えながら年2回のペースで10年間継続。2021年、有限会社倉敷意匠計画室代表を辞任し、2022年、古美術店「画室」を開店。
今展によせて タナベシンスケ
このたびの展示は、古墳時代の埴輪と土師器を中心とするものですが、縄文時代と弥生時代の土器とも比較して見ていただけるようにしたいと思っています。長くゆっくりと醸成されてきた縄文の文化が、弥生時代以降急速に流入する大陸文化の力によって、大きく姿を変えていきます。それは、日々の生活に欠かすことのできない土器の造形にも顕著に現れます。
縄文文化の精神性を捨て去ることで、均整と機能美を重視する造形が現れたと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、火焔型土器のような装飾豊かなものだけに縄文時代の本質があるわけではなく、そもそも、縄文を施した土器というのも全体の中では一部であるし、文様を持たない縄文土器も数多く存在します。また逆に、縄文を持つ弥生土器もかなり長い期間にわたって作り続けられています。
私たちが思い描く弥生土器が持つ研ぎ澄まされたフォルムの原点は、実のところ、すでに縄文時代に存在していたと思うのです。大陸文化の受容の中でさらなる洗練が加わり弥生土器が生まれ、大和王権の確立とともに、規格化や均一化も現れてくる土師器。その変遷の姿にも、なお変わることのない日本人固有の美意識というようなものが貫かれていることを感じていただけるでしょうか。
そして、古墳時代の象徴とも言える埴輪。豪族の墓である古墳は、国内外へ力を誇示するモニュメントでもあるわけですから、そこに並べられる埴輪は威信材としての意味も大きかったはずです。ところが、今に残る埴輪を眺めると、その多くは強さとかけ離れた優しい姿で、表情には憂いをも感じてしまいます。
なんだか寂しさを隠しきれないことに共感を覚え、そこに美を感じているかのようにも思えるのは、勝手な解釈であるのでしょう。それでも、この地にはそうした美意識を生み出す風土があって、それは古代から現代にまで繋がっているのではないかと考えてみるのは、大切なことではないかと思っています。