京都に「古い道具」という、土曜日しか開いていない古道具屋があり、その店主の冨永淳さんの展観です。古道具坂田の坂田和實さんの本『ひとりよがりのものさし』の中国語版が、はやければ年内に上海の出版社から出ることになり、解説を依頼されました。そこであらためて坂田さんのこれまでの文章や発言をまとめて読み、とくにいま響いたのは、「自分(坂田さん自身)も批判されなければいけない」との言葉でした。批判されることで枝葉が落ち、芯がのこる。「枝葉」とは物であり、「芯」とは行為、思想です。冨永さんの選択、陳列にも、気骨があります。批評精神のようなものです。


会期|2021年8月27日(金)-31日(火)
   *8月27日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13-20時
会場|工芸青花
   東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)
出品|冨永淳(古い道具)



冨永淳 Jun Tominaga
1978年京都生れ。大学で日本画の勉強をする。28歳のときに陶芸家の石井直人さんに出会う。これがきっかけで工芸や古いものに関心を持つ。この頃から古いものを買うようになる。2014年「古い道具」を始める。2015年、京都に「古い道具」開店。以後、落ち穂を拾うように古いものをさがす。



展覧会によせて   冨永淳


白いカーテンがふわりとゆれる。それに合わせて部屋の空気や明るさもふわりと動きだし、いままで見えていなかった周りのようすに気付きはっとする。カーテンがゆれてからはっとするまでのつながりは川の流れのようにごく自然であたりまえだ。ぼくのやっていること(古物商)はあたりまえかわからない。でも選んだものをある場所にポツリ置くとそれに合わせてその場の空気が動きだす(ごく自然に)。川の流れがポツリ一滴の水からはじまるように、ひとつの古いものからはじまる何かもあるのかも。8月のおわりの神楽坂にふわり、風とおしのよい空気を感じに来てもらえたらうれしいです。












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