昨年につづき、「たけのこ村」の新作展をおこないます。題して「たけのこ狩り」。「たけのこ村」とは、福岡県吉井町を拠点に土器づくりをおこなうグループの名称です。土は山で掘り、薪は倒木流木をあつめて割り、窯は野焼き、ストーブ、知人の陶芸家の窯を借りたりもします。素人集団ですが、彼らの活動をみていると、素人と玄人の境とはなにか、という問いがうかんできます。境界線があるとすればどこか、もしかしたら境界そのものが虚構ではないのか、など。
同様の問いは、「たけのこ村」とふかくかかわる吉井町出身の花道家、杉謙太郎さん(1975年生れ)の花をみていても思います。玄人の花のまがうかたなき実践者として、アスリートのごとく心技体をきたえるいっぽう、花に素人も玄人もないとの真理を手ばなさず、花会においてそれを顕現させています。
会期中は毎日、杉謙太郎さんの花会もおこないます。
会期|2022年4月29日(金)-5月3日(火)
*4月29日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13-20時
会場|工芸青花
東京都新宿区横寺町31-13 一水寮(神楽坂)
出品|たけのこ村
花会|杉謙太郎|花の一生
日時|4月29日−5月3日|19時半-21時
会場|一水寮悠庵
東京都新宿区横寺町31-13 (神楽坂)
定員|10名
会費|6000円
https://shop.kogei-seika.jp/products/list.php?category_id=12
声明文 たけのこ村
皆様、おつかれ様です。たけのこ村です。待ちに待った春、いかがお過ごしですか。たけのこ村では、そろそろニュウっとたくさんの筍が生まれ、収穫に大忙しとなりそうです。そして、今年も神楽坂へと出陣いたします。村では、現在も山土原土を掘り進めながら、焼きの試行錯誤も続けております。
ところで、車や道具のない古代において、粘土、火、水はとても貴重な資源であった、というより、大変(土背負って谷を下って上がる)(コリコリやって火をおこす)(喉渇いて谷川に水汲みに行って、帰ってきたらまた喉が渇いている)──そんな暮らしぶりの中で、我々の祖先は非常に苦労をしていたのではないかと推測されます。
わざわざ焼き物を焼くためだけに火を燃やしていたのだろうか。寝ぐらで毎日焚かれる火は、木の実などを煮炊きするものではあるけれど、とても貴重なものだから、それはそれは大切に使っていた……とすれば、その火も利用して焼き物をあぶっていたかもしれない。丁寧にこさえた小さな容器は、毎日少しずつ焼き固めていき、やがて程よく焼き締まり、まあこれでいっかと使いながら、いやいやもうちょい焼こう、となれば、また少しずつあぶりあげて、最終的には直接炉端で「焼いて」いたのかもしれない。わかりませんよ、わからないけれども、毎日家で寝て食って、そして必要なものは作って、食べた貝殻は穴に埋めて、土地が汚れてきたら100メートルほど移動して、とか、そんなことしていたとしたら、全ては循環の作業だったのじゃないかなと思いました。だって縄文の器って、ものすごく一生懸命に作っているんです。
今は何もかもが分業、分業。小麦粉作る人、チーズを作る人、ピザを作る店、配達する人、食べる人。Uber eats。しかし、できるだけ一人でやっていると、好みや、まあこんなもんかっていうところで、途中で火をとめることもしていいわけだし、何より満足して充実する。誰かにクレームいう必要もないから、幸せだなって思う。
もしかしたら、私達はどこかで道を間違えて、何か大切なものを置き忘れきてしまったのかもしれない。そんなことをうつらうつら考えながら、たけのこ村は今日も土をあぶっています。もうあんまり焼きすぎなくてもいいんだったら、それでいいんじゃないか? もちろん用途によるけど。そしたら、薪は少なくて済むし、なにより楽です。そういう可能性も、頭の片隅に置いといてもいいんじゃないかなーと。サスティナブルな土器、自分の事くらいは自分で責任取れるように。
神楽坂春の陣、どうぞ「たけのこ狩り」へおでかけください!