今年も、毛涯達哉さん(神 ひと ケモノ)による展示をおこないます。これまで日本では(もしくは海外でも)あまり紹介されてこなかったテーマで──というのが毛涯さんと私(菅野)の毎回の思いなのですが、今回の「ペルミ様式」の青銅製品は、そうした意図にふさわしい展示になりそうです(「ペルミ」はロシア中西部の地方名)。この情勢下、ロシアを旅した毛涯さんの講座もあります。
会期|2022年7月29日(金)-8月2日(火)
*7月29日は青花会員と御同伴者1名のみ
時間|13-20時
会場|工芸青花
東京都新宿区横寺町31-13 一水寮(神楽坂)
出品|毛涯達哉(神 ひと ケモノ)
講座|工芸と私60|毛涯達哉|シベリアの動物たち
日時|7月29日(金)18時半-20時半
会場|一水寮悠庵
東京都新宿区横寺町31-13 (神楽坂)
定員|20名
会費|3500円
https://shop.kogei-seika.jp/products/detail.php?product_id=881
毛涯達哉 Tatsuya Kegai
古美術商。1980年東京都生れ。東北大学で古環境学、古生物学を専攻。大学院中退後、クラシック音楽関係の会社に就職。仕事の合間に独学でロシア語を習得し、2014年にサンクトペテルブルクへ移住。ロシア内外を旅しつつ、オリエント及びロシア正教の美術品を紹介している(屋号は「神 ひと ケモノ」)。ロシアではアマチュア・ピアニストとしても活動。
シベリア−フィン・ウゴルの動物たち 毛涯達哉
西シベリア−東ウラルのフィン・ウゴル人の祖先は、1000年紀の中後期、金属鋳造芸術が成熟すると共に数々の動物意匠を施した青銅製品を生み出しました。それらの青銅製品は、19世紀後半から20世紀初頭の発掘調査によりペルミ地方で発見され、「ペルミ様式」として知られています。装飾板やバックルに表現されたのは、獰猛な肉食獣や猛禽類、鹿やヘラジカなどの狩猟動物、爬虫類、精霊を思わせる人物像。それらのモチーフは、部族の社会構造や生産活動、シャーマニズム的な世界観、近隣民族の文化発展などと密接な関係があり、後に続く文化に継承されたと考えられています。
今展でご紹介するのは、ペルミ様式を主としたフィン・ウゴルの青銅製品。装飾品や生活用具、呪術に使われたと思われる道具に施された動物たちは、どこか穏やかでユーモラス。自然との共生によって育まれた、豊かな狩猟採集文化が想像されます。