10月4日(土) 曇
夜、今年も大竹昭子さんのカタリココを開催するが、店内でのイベントが禁止されているので、近所の会議室を借りる。今回のゲストは、僭越ながら不肖私。大竹昭子さんが聞き手となり、生い立ちからこれまでの経緯を聞いてくださる。自分が影響を受けたものとして、祖父がシベリア抑留時代に現地から送ってくれたハガキと、祖母が昭和20年に書いたノートを紹介する。終わった後にフライドポテトと唐揚げでビールをいただく。10月6日(月) 晴
午後、店舗の扉を開けるや否や電話が鳴る。とってみると京橋の某老舗企業の秘書の方から。大量の蔵書や版画があるので見てほしいとのこと。しかも、12月初旬までに全て片付けなくてはいけないという。詳しく聞くと、軸や骨董品もあるそう。一気に心のボルテージがあがる。古物商の血が騒ぐ。明後日11時半の約束を取り付ける。10月7日(火) 曇
午前、某誌にてこれまで印象に残った絵本をあげるという内容のインタヴューをしていただく。どれにしようか迷ったが、土方久功『ぶたぶたくんのおかいもの』にする。小さい頃読んでいたし、今も子供に読み聞かせている一冊だ。土方久功はゴーギャンのタヒチでの生活に惹かれてパラオやサイパンなどの南洋に渡った芸術家でもある。営業終了後、近所の焼鳥屋「とり健」でM氏と会食。馬喰町に一棟貸し優良物件が出たというので、その情報を伺う。ビール2杯と焼き鳥6本セットをいただき、さらに鳥雑炊を注文する。12月くらいにそのビルが空くという。家賃も相場よりかなり安い。10月8日(水) 曇
11時半、京橋の某老舗に到着。社長室に通されまずは社長にご挨拶。社長室の壁には江戸前島の地図が貼ってあった。社長が江戸前島の地図を見ながら、昔ここは台地だったが茅場町は海だったと話してくれる。続いて地下の倉庫へ向かう。倉庫に向かう途中の通路には、某政治家の書をはじめ、屏風やいくつかの大きなダンボール箱がある。そして倉庫の扉を開けると本の山。先代が読んでいた本だという。仏教や古美術、経営学の本が多い。繭山龍泉堂が出版した『龍泉集芳』のタイトルが目に入る。別の倉庫に通されると、そこにはいかにも貴重と思われる版画の数々。一体何点あるのだろう。これは到底私の手に負えるものではない。内見のみで茅場町に戻る。午後、ボヘミアンズ・ギルドの夏目滋さんに電話し、協力をお願いする。夏目さんは快諾してくださり、とりあえず一緒に見に行くことになった。10月10日(金) 晴
午前、某誌の企画で大竹昭子さんにNY時代についてのインタビューを行う。大竹さんは79年から81年まで、イースト・ヴィレッジに暮らした。先週の土曜日は大竹さんが私に尋ねてくださったが、今日は立場が逆転。以下の回想が印象に残る。「NYは人のエネルギーを吸い取って上に行こうとする人が多く、よくジャングルといわれるけれど、本当にジャングル。弱いとやられる。強いと2倍3倍になって返ってくる」。東京も似たところがあるのではないか。10月15日(水) 雨
午前、丸ノ内線で赤坂見附駅へ。外は冷たい雨。東急プラザ正面3階のラウンジにて向田邦子の妹の和子さんとお会いする。熱い紅茶を飲みながら向田邦子の写真についてお話を伺う。午後、茅場町の店舗でアートデレクターの宮古美智代さんと雑談。なんと、来週に青山のあるギャラリーで、「ひとつの雑誌だけを売る本屋さん」展が開催されるという。これはまずいのではないだろうか。いま進めている構想とほぼ一致する内容なのではないだろうか。膝から崩れ落ちそうになるが、詳しく聞くとどうも一週間だけのイベントらしい。