『四時之花 なげいれ稽古録』
著者|川瀬敏郎
発行|2023年9月15日/新潮社青花の会
撮影|佐々木英基
B5判/上製本/カラー392頁
15,000円+税
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花人の川瀬敏郎さんは以前、「稽古場が自分を鍛えた」と語ったことがあります。50年近く続けてきた、なげいれの花を教える場のことです。本書は、そうした教場の花(川瀬さんの花と、生徒たちの花に川瀬さんが手を入れたもの)の厖大な記録写真のなかから365点をえらび、新たに1年(365日)の日々に配し、言葉を附したものです。
川瀬さんは「たてはな」と「なげいれ」という二つの古典様式を現代に蘇生させた、後世語り継がれるであろう花人ですが、前著『花をたてる』(2021年)が「たてはな」の、そして今回の『四時之花』が「なげいれ」の、文字通り集大成的作品集になりました。
*「四時(しじ/しいじ)」とは四季のこと、また月の晦朔弦望、日の朝昼夕夜という四つの時の意もあります
*本書は2020年4月より21年4月まで新潮社青花の会ウェブサイトで連載した「川瀬敏郎 四時之花」を大幅に加筆、再構成したものです
川瀬敏郎 KAWASE Toshiro
花人。1948年京都市生れ。幼少より池坊の花道を学ぶ。日本大学芸術学部卒業後、パリ大学へ留学。演劇、映画を研究するかたわらヨーロッパ各地を巡る。74年に帰国後は流派に属さず、いけばなの原形である「たてはな」と、千利休が大成した自由な花「なげいれ」を軸に、花によって「日本の肖像」を描くという独自の創作活動を続ける。2009年京都府文化賞(功労賞)、13年京都美術文化賞を受賞。著書に『花会記 四季の心とかたち』(淡交社)、『川瀬敏郎 今様花伝書』『川瀬敏郎 一日一花』『花をたてる』(いずれも新潮社)など。
〈なげいれの稽古は、いずれの花も「本番」であり、いけばなのように、型を習得するための「稽古花」は存在しない。当初は、私が用意した花を各人がいけていたが、教場を開いて十年あまり経った頃から、各自が採集した花を持ち寄るようになった。道端の一本の草でいい。自らのこころに響いた花でないと、本物のなげいれにはならない〉(川瀬敏郎/「はじめに」より)
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〈なげいれの教場を開いてかれこれ四十五年あまりになります。なげいれには型がなく、それを指導するのは並大抵のことではありませんが、私は、人がいける膨大な数の花から、むしろ多くを学びました。「たてる」花とともに、私自身の花の核となるのが「いれる」花、教場の花です〉(同「後記」より)
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〈各人がいけた花を私が手直しすると恰好はつき、いけた本人も納得しますが、単にかたちを整えるだけでは一巻の終りになってしまうのが、なげいれの怖いところです。各自がいけた、一見雑然と見える姿に隠れている「真」を見定め、それぞれの資質に応じて指導していくのが私の役割です。それは、言うは易し行なうは難しで、毎回が真剣勝負です〉(同)