3月1日(水) 晴

午前、犬の散歩に外に出ると真冬に戻ったような寒さ。店舗にて銀座メゾンエルメスに納品する書籍にカバーをかける。昼食に千疋屋のフルーツサンドをいただく。増田さんご来店。フリーライターの井出さんから銀座に関する本の書評依頼のメールがあり、あれこれ考えながら帰宅する。荒木経惟さんの『センチメンタルな旅』に写り込んだ資生堂の包装紙から銀座について何か書けそうな気がする。


3月2日(木) 雨

午前メゾンエルメスに納品する書籍の伝票を出力。午後、昼食にスワンカフェのナポリタンをいただく。雨が止まないのでタクシーに乗車して銀座5丁目のエルメスまで搬入。森住さんが手伝ってくださる。隣のソニービルのEDIT TOKYOにてブックスタンドを購入。現場で実際に設置してみると予想より棚が広く、もうすこし本を増やすことを検討する。51%TOKYOにあるパオロ・ロベルシの『Studio』を譲ってほしいと、三浦哲生さんに電話するが、参考商品につき丁重に断られる。営業終了後、釜屋くんとこの春に開設予定のウェブサイト「森岡書店総合研究所」について相談をする。


3月3日(金) 晴

午前、神保町のボヘミアンズギルドと飯田橋のArteriaに行き、作家のアトリエを写した書籍を探す。このような時、ボヘミアンズギルド店主の夏目滋さんの存在は心強い。午後、銀座メゾンエルメスに向かい書籍の飾りつけを行う。ブックスタンドが足りなくなり、再度EDIT TOKYOで求める。昼食の時間はなく店舗まで歩く。夕方、神田錦町のテラススクエアにて加藤孝司さんと合流し写真展のトークイベントに登壇。今回はYusaku Aokiさんにポートレイトについてお話しをお聞きする。


3月4日(土) 晴

午後、流石 琳でうどんをいただく。あたらしくスタッフになった大木戸さんは元ガラス作家という。その後、早速大木戸さんが店舗にご来店くださり、ちょうど店内にいたグラフィックデザイナーの山口信博さんとガラスやデザインの話になる。このような偶然の出会いに立ち会うことが、実店舗にいる醍醐味だろう。夜、雑誌『pen』の特集〈いまこそ、結婚の話をしよう。〉のなかの記事「愛の形を鋭く描写した、名作について語ろう。」の原稿をかく。自分の担当は本について。植本一子さんの『かなわない』、徳田秋声の『新世帯』などを紹介する。


3月5日(日) 晴

午後、ある方からSteven Smith Teamakerの紅茶をお土産にいただく。増田さんご来店。編集者の金築さんも誕生したばかり赤ちゃんと一緒にご来店。デザイナーの濱愛子さんと打ち合わせ。夕方、FiFyさんご来店。『ライオン号』の中国語訳を持ってきてくださる。『ライオン号』とは長女の小学校入学にあわせて自分がつくった話。世界は不思議にあふれていて、それに対してを素朴に「何でだろう」と関心を持てば、きっとこの先の勉強を楽しめるだろう、という希望を込めて書いたもの。


3月6日(月) 晴

午前、三菱東京UFJ銀行にて支払いや明細の確認を行う。その後、近所のルノアールにて珈琲を飲みながら休憩。午後、写真家の菊地和歌子さんと編集者の一花ハナさんがご来店。明日からはじまる『echo』展の飾りつけを行う。店内が非常に寒い。先月は体調を壊してしまい、予定通りにいかなかった。体調管理に気をつけたい。


3月7日(火) 雨

午前、『別冊太陽』の取材を受ける。銀座特集につき銀座のギャラリーについて話をさせていただく。午後、恵比寿駅前にて編集者の安藤夏樹さんと合流し『MOMENTUM』の撮影。帽子を被った顔写真を、駅前の自動撮影機で撮影するという企画。安藤さん、お声がけいただきありがとうございます。撮影が終わった頃、冷たい雨が降り出す。ブックショップPOSTにて作家のアトリエに関する書籍を3冊譲っていただく。久しぶりに店主の中島佑介さんと話す。夕方、銀座メゾンエルメスに搬入。最後の微調整を行う。その後麻布に移動。六本木通りを歩いていたら桃居のオーナー・広瀬一郎さんに遭遇する。ユーモレスクで白いシャツを予約し、喫茶Rにて滝本玲子さんにお茶を入れていただく。その後、喫茶Rの隣のLe Boutonにて会食。店内でソニア・パークさんと遭遇する。


3月8日(水) 晴

午前、AXISの谷口真佐子さんから原稿依頼のメールをいただく。11時、堀江貴文さんご来店。「役割の変化を見極めろ」「電子書籍の謎」などのテーマで対談させていただくが、堀江さんの聞き役になってしまった。午後、表参道ヒルズにて「エルメスの手しごと」展の内覧会に参加。すると会場にAXISの谷口さんがいて驚く。あらためて原稿の依頼をいただく。PASS THE BATONにてシャツを求める。夕方、来月オープンするGINZA SIXで上映する銀座を紹介するムービーの撮影。お声がけくださった島本塁さんありがとうございます。


3月9日(木) 晴

午前、2月の経費計算。午後、銀座メゾンエルメスへ。店舗に戻り菊地さんとお客様を迎える。おだやかな一日。夕方sowhatで珈琲を飲んで一息つく。


3月10日(金) 晴

午前、次女の保育園の卒園式に出席。年中年少組の園児にかこまれながら保育園を出る。高円寺の庚申文化会館にて先生方への謝恩会。17時、小村希史さんご来店。銀座を描いたスケッチを見せてもらい胸を打たれる。黒から白への淡いグラデーションのみで構成されたイメージ。夜、編集者の矢作さんと銀座三越の裏手で遭遇し、銀座線で渋谷までご一緒する。渋谷駅にて昨年12月に台北でお世話になったトミックさんと待ち合わせ。かもめブックスの柳下さんとイラストレーターのオガワナホさんと一緒に東京ツアー。渋谷ライオン→銀座ルパン→日本橋マンダリンバー→新宿ゴールデン街The OPEN BOOKの順でめぐる。途中、花園神社にも参拝する。


3月11日(土) 晴

午後、菊地さんご来店。本日もsowhatにて珈琲を飲む。先日葉巻を吸う方が隣にいて良い香りがしたので、マスターの栗岩さんに葉巻を吸ってみようかと相談してみる。今日で東日本大震災から6年。月日が経つのは早い。


3月12日(日) 晴

午前、銀座5丁目の思文閣にて赤木明登さんの「茶の箱」展を拝見。編集者の和田紀子さんから「待庵の古材を用いた箱は、千利休による書の軸とともに展示されている」と聞いて参上したが、本当にその通りだった。贅沢。思文閣を出たところでフリーライターの輪湖もなみさんと遭遇し、赤木さんの展示をおすすめする。午後、菊地さんご来店。


3月13日(月) 曇

午後、吉原さんと響文社の高橋さんが明日からはじまる『根源乃手/根源乃〈亡露ノ〉手、…』刊行記念展の搬入にご来店。この企画のために吉増剛造さんは蔵書の一部を販売用に出してくださった。しかもオリジナルの蔵書印を捺して。吉原さんと一緒にその値づけを行う。足を運んでくださったお客さんが持って帰りやすいようにと、かなり安い価格にする。なかには吉増さんの書き込みがびっしり入った西脇順三郎の詩集などがあり、神田の市場に出したら目が飛び出るほどの価格がつくのだろうと考えながら、安価な値段をつけていく。夜、某企画にて銀座2丁目の白いバラへ行く。


3月14日(火) 晴

午後、吉増剛造さんご来店。『芸術新潮』でインタビューさせていただいたとき以来1年半ぶりにお会いするが、会話のリズムと声の柔らかさに変わらず惹かれる。


3月15日(水) 晴

午後、田子作煎餅にてお土産のお煎餅を求めた後、銀座2丁目の昭和通りからタクシーに乗車して代々木の森山大道事務所へ。4月末に予定している企画での展示作品を預かる。千駄ヶ谷門から新宿御苑の中に入り散策しながら新宿3丁目の世界堂へ。今日は花粉症がきつい。昨晩消失した2月分の日記のデータも復旧せず。夜、祐天寺のmargoにて小林和人さん、平井かずみさん、後藤由紀子さんと会食。


3月16日(木) 晴

午前、『GINZA』に掲載する銀座に関する本の原稿を送信。午後、NHKの番組による吉増剛造さんの収録を店内で行う。19時、会場を近所の銀座ブロッサムに移して吉増さんのトークイベント。渡邉康太郎さん、朝吹真理子さんご来場。


3月17日(金) 晴

午後、表参道のTakramの会議室にて森岡書店総合研究所の打ち合わせ。青山通り沿いのカフェで、この件で協力してもらっているconcentの吉田知哉さんと一息ついた後、代官山の蔦屋書店にて三浦さんと合流。渋谷の東塔堂に立ち寄る。渋谷駅から銀座線に乗って店舗にもどる。荷物をまとめ東京駅へ。最終の新幹線にて名古屋へ。お弁当を求める時間はなく、エスカレーターを駆け上がり、出発ギリギリで乗車。車内で睡眠。名古屋駅前のホテルに宿泊。


3月18日(土) 晴

午前9時に名古屋駅前で金森正起さん、平澤まりこさん、菅野康晴さんと合流し、金森さんの車に乗せてもらい伊賀のgarelly yamahonへ。「生活工芸と思想」展のトークイベントに登壇させていただく。昨年の松本六九クラフトストリートで山本さんと工芸と思想について路上で会話したことがあったが、そのご縁で呼んでくださったのだろう。三谷龍二さん、安藤雅信さん、辻和美さん、内田鋼一さん、菅野康晴さんが登壇する場にあって自分が話せることは何だろう。生活工芸のはじまりを振り返りつつアートと工芸の関係が論じられていく。書店の分野でも、2000年頃に新しい感覚の店舗が出現した。江口宏志さんのユトレヒト、中島佑介さんのlimArt、松浦弥太郎さんのCOW BOOKS。このころに現在のまでつながる変革があったのだろうか。三谷さんが「(生活工芸とは)身近なものにものに対する関心」とおしゃっていたことが印象に残る。安藤さんは最後に生活工芸の定義を訊かれ、やや間をおいて「問題を見つけて、それを解決していくこと」と返答された。終了後に伊賀上野の韓国料理店に移動して会食。私はホテルを予約していなかったので、急遽、四日市市のホテルをおさえていただく。伊賀上野のホテルはどこも満室。深夜、内田さんのワゴンに菅野さんと一緒に乗せてもらいホテルへ。ベッドで今日のトークイベントのことを省みる。「生活工芸と思想」というとき、そもそも思想とはどういうことを指すのかを私自身明らかにすべきだったのではないだろうか。ほどなくして寝る。


3月19日(日) 晴

午前、近鉄四日市駅前の薬局で花粉症の薬を求めてくしゃみと鼻水を抑える。名古屋駅構内で天むすを求めてから新幹線に乗車。車内で昨日のトークの内容をまたふりかえる。現実を越えたところに理想を想定するのではなく、現実を変えてみたら、より豊かな光景が見えてきた、それを欧米の人々が追従しつつある、という流れが生活工芸ではないかと考えてみる。それを端的に簡潔にまとめるなら、「坂の上の雲」から「生活の中の工芸」へ、と言うのがまとまっていると思う。つまり明治維新以降、ある種の理想として西洋の文物を追いかけるあり方から、目の前の現実を見つめ直し働きかけるあり方への、精神のありようの変化として捉えるということ。午後、店舗に到着し明日の銀座メゾンエルメスでのトークの資料を整理する。夜、響文社の高橋さんの似顔絵を描いて吉増さんの作品の梱包搬出。


3月20日(月) 晴

午後、銀座5丁目のメゾンエルメスにてトークイベント。木村伊兵衛の『Four Japanese Painters』をお客さんと一緒に見る、という企画だったが、開始前あらためてページをめくっていたら版元の所在地が銀座5丁目とあり驚く。終了後、トリコロールにて紅茶とエクレアで休憩し、中川たまさんの搬入を行う。終了後、六本木ヒルズのスタバに移動して下田東急ホテルに納める書籍の検討したり、田中厚子『土浦亀城と白い家』を読んだりする。


3月21日(火) 雨

午後、中川たまさんご来店。『旬弁当』で紹介されている「うめしお」が美味で何度も手に取って舐めてしまう。『工芸青花』7号に掲載されている生活工芸の記事の打ち上げに池の上に向かうが、なんとすでに解散しているという。しかし小林和人さんに電話してみるとまだ池の上駅構内にいるとのことなので急いで合流。そのタイミングでちょうど入ってきた電車に乗ると、目の前に森田春菜さんと郡司慶子さんが座っていて驚く。


3月22日(水) 晴

午前9時、スウェーデンの自動車メーカー・ボルボに試乗。茅場町の中央警察署へ行き古物商免許の更新手続きを行う。銀座3丁目の路上で編集者の和田さんと遭遇。銀座メゾンエルメスの会場にてお客様に本の解説を行い、その後ルパンにてハートランドを一杯いただく。中央線に乗って吉祥寺へ行き、百年にてウィリアム・クラインの『RETROSPECTIVE』を求める。いか文庫の粕川ゆきさんと阿佐ヶ谷駅で遭遇する。


3月23日(木) 晴

14時。tokyobikeの取材を受ける。彫刻家の沢田英男さんご来店。5月の展示販売会について相談する。営業終了後、神保町へ。51%Tokyoが施行したコワーキングスペースのオープニングに参加。ちょうどスペースを運営する某企業の方々と同じテーブルになったので、三浦さんと共に生活工芸美術館構想をプレゼンさせていただく。小林和人さん合流。三幸園にてラーメン、餃子、麻婆豆腐をいただく。


3月24日(金) 晴

午後、ブラジルのテレビ局の取材を受ける。16時30分に銀座メゾンエルメスにて書籍の解説。ギャラリー日々にて中野知昭さんの漆器の展示を拝見。


3月25日(土) 雨

午前、無印良品有楽町店へ。「民藝運動フィルムアーカイブ 名も無き美を求めて1934-2017」展が明日で終了というこことで再訪。夜、松屋裏のスタバにて『土浦亀城と白い家』の書評原稿を書く。


3月26日(日) 雨

午前、小学校の学校説明会。午後、トリコロールにて雑誌『銀座百店』を読みながら珈琲をいただく。元千葉ロッテマリーンズの里崎智也捕手の対談が面白い。「監督より、球団の社長になるとこ。根本から改革したい」「夢は笑われるくらい大きいほうがいいと思うんですよ」。中川たまさんの書籍の搬出のあと、編集者の河合さん、ライターの岩橋さんと慰労会。来年は果実の本をつくる予定とのことなので、次回も展示販売会をお願いする。


3月27日(月) 曇

午後、茅場町の長寿庵にて久しぶりにせいろをいただく。その後、中央警察署へ行き、更新した古物免許証を受け取る。続いて東西線に乗って九段下法務局まで行き、取締役追加の書類を提出するが「印鑑が違う」と言われてしまい引き返す。夜は都立学駅に移動して会食。またしても私はワイン一杯で寝落ち。


3月28日(火) 晴

午前、待てど待てど、ミヤケマイさんの新著『蝙蝠』が届かない。前々日、製本がかなりギリギリの進行だと連絡があったが、やはり間に合わなかったか……。と思っていたら開店15分前にトラックが到着。12部だけ届く。これで何とか開店できます。製本所のスタッフの方々は徹夜だったのではないだろうか。大切に販売いたします。ミヤケマイさんも仕上がりをはじめて見て納得されたよう。この本はそれぞれ判型の異なる6冊の本を合本させて1冊のようになる造本仕様。じつはは1年前に構想をお聞きしたときには、とても実現できると思いませんでした。でもミヤケさんには見えていたのですね。夜、たて森にてやきとりをいただき、『土浦亀城と白い家』の原稿を仕上げる。


3月29日(水) 晴

午前、長女と21_21DESIGN SIGHTにて「アスリート」展を見学。その後、新国立美術館へ向かい草間彌生展に入場しようと考えていたが長蛇の列で諦める。予定を変更して森美術館の「N. S.ハルシャ展 チャーミングな旅」へ。床が絵画、天井が鏡になっている部屋があり、靴を脱いで寝転がれるのだが、寝転がってみると本当に寝てしまう。長女に起こされる。屋上に出て東京の空を見渡す。高層ビルも。


3月30日(木) 晴

今日は取材を受ける日として設定しました。午前、テレビ朝日の新番組に取材をしていただく。午後、『pen』の銀座特集で店舗の動画を撮影をしていただく。夜、上海の雑誌『行楽』の編集長の袁さんと企画の相談。


3月31日(金) 雨

午前、ミヤケマイさんが『FIGARO』の取材を店内で受ける。午後、石島さんに取材の挨拶をする。三菱東京UFJ銀行京橋支店にて各種支払いと入金。森住さんご来店。森岡書店総合研究所の相談。夜、銀座アスターにて会食。今月もおつかれさまでした。


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森岡督行 yoshiyuki morioka

「森岡書店」主人。1974年山形県生れ。著書に『BOOKS ON JAPAN 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)、『荒野の古本屋』(晶文社)、『東京旧市街地を歩く』(エクスナレッジ)など。「青花の会」編集委員。
facebook:yoshiyuki.morioka.7


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